吉川社長の今月の言葉


2010年2月の言葉“私の至極の喜び”

誰に評価されることもなく、世の中に出ることがなくてもいい。
なれど、先輩から受け継いだ昔ながらの作り方を次の世代へ伝えるために
本物を追求するこだわりこそ私の至極の喜びです。

レトワール・ドゥ・ジェアン 料理長 佐伯宏彦

料理長佐伯宏彦
「今日は新鮮な伊勢海老が入りました」

「そう!それをいただこうかな」

何度かお越しいただくうちに、お客様のお好みも分かってまいります。季節も変わりその時その時の旬の食材でおもてなしすることができ、お料理を堪能していただける。これこそ料理人の至極の喜びだと感じております。

18歳の夏、私は料理人になりたい一心で、昭和48年当時福岡で唯一のフランス料理店だった“花の木”の門を叩きました。そこで出会ったのが今日の日本のフランス料理を支えてきた井上旭でした。井上に師事し、福岡から銀座、京橋の板場で修業。

その後スーツケース一つで渡仏し、星なしレストランでのまかない担当からスタートし、パリで店を立ち上げ8か月で2つ星を取得するという経験を経て帰国。このよし川で24年が経とうとしています。

「やっぱり、これが本当のフランス料理だね」

そう言っていただけるおなじみさんの嬉しい言葉に救われます。
師匠から叩き込まれた“うまい料理はソースにあり”のソースの仕込み。フォン・ド・ボゥ、コンソメ、フュメ・ド・ポアソン、アメリカン・・・。フランス語も分からないまま辞書片手に原書を開き、必死で想像する本物のフランス料理。師匠が少し苛立ちながらつぶやく「本場の味はこんな味じゃないんだ」という言葉を聞きつづけ、本物が知りたいと渡仏して習得したフランス料理の味と心。

今はソースも市販され手軽にフランス料理が作れるようになりました。18歳当時に読みふけったフランス料理の本にあった定義などもなくなりつつあります。そんな中、私が骨を仕入れオーブンで焼いて出汁を取るという昔ながらの作り方や、素材素材にあわせた下ごしらえの仕方にこだわるのには、いくつか理由があります。今日はその中の3つを紹介します。

1つ目は奥深い料理の味とおいしいワインが重なった時のなんともいえないあの感動こそ、
本当のフランス料理だと考えていること。

2つ目は前出のお客様のように、ここに本物のフランス料理を楽しみに来ていいただくお客様のため。

3つ目は、先輩たちから引き継いだものを次の世代へ伝えるため。

先輩たちが、その当時手に入る本当に限られた素材で、なんとか本場のフランス料理の味を出そうと格闘したからこそ、今の日本のフランス料理があります。その姿を見てきた自分たちは、それを引き継がなければいけないと強く感じています。だからこそ、一切手を抜かず、味も心も大切に守り続ける。

フランス料理の心を最初に教わったのは“花の木”の鉄板焼きでした。簡単なようですが奥が深い。実質労働時間18時間という下働きから抜け出したい一心で、毎日閉店後に焼く練習を続けました。焼くのは野菜くずやパンです。そうしていると時々先輩が「これ食べたいから焼いてくれ」と鶏肉を渡してくれるようになりました。お客様とお話をしつつ、お好みの焼き加減、食べるスピードを見て、食べ終わったときに適量がお皿に乗っているようにする。初めてお客様の前で焼かせていただいたのは、クリスマスシーズン。フランス料理のほうに人手が取られ、ピンチヒッターでのデビューでした。

「こいついけるよ!」

というおなじみさんの言葉で、自分の持ち場が一つできたのです。
その鉄板焼きだけは、自分の店でもどうしてもお出ししたいという思いで、オープンする時に大きな鉄板を設置した部屋を設け、現在でも1日1組限定の完全予約制にて承っております。

1日1組様限定 鉄板焼きステーキ


ニンニクを焼くこれが基本。鉄板焼きというシンプルな調理法では、たぷりのにんにくを焼くことが重要です。最近では、揚げた薄切りにんにくを少し使うステーキ屋さんんがほとんどです。

よし川の鉄板焼・ステーキコーナーでは、あえて伝統的な基本を守り、生のにんいくを丸ごとたっぷりと使い、時間をかけて焼いていきます。

野菜を焼く
季節の焼き野菜から食べ始めていただきています。
温野菜の前菜といったところ。
帆立を焼く
帆立は甘くとても香ばしい、鉄板焼にはふさわしい食材の一つです。
あわびを焼く
あわびは上手に火が入るとと、とてもやわらかく焼きあがります。
ほんのりと磯の香りを残す、極めて上品な味わいがたまりません。

伊勢海老を焼く
伊勢海老は、鉄板焼の醍醐味を十分に味わえる食材の一つ。目の前の鉄板で焼ける香りは最高です。

表面はカリッとよく焼いて、中に少しレアな状態を残す焼き加減が重要。芳醇な味と香りが広がります。

 

 

極上素材を味わいつくす

鉄板焼のお部屋の様子目の前で食材が焼きあがるのを見ていただいて、
その焼ける音を、その香りを、
又、焼きたて位の食材の食感と味を
楽しんでいただきたいのです。

極めてシンプルな料理法ですが、
五感の全てをストレートに満たしてくれる
贅沢な料理です。


お汁とおつけもの
肉を焼き終わった後の鉄板で作る野菜がたっぷり入った焼き飯は、とても香ばしく濃厚な味。よし川の日本料理の店で作ったお汁と漬物を一緒にお召し上がりいただきます。

サーロインを焼く
肉が本当にお好きな方には、ヒレ肉よりもむしろ飛騨牛の極上サーロインがおすすめです。

最後のデザートは場所を変えて、鉄板の前ではなく、レストランのテラスでゆっくりお楽しみいただきます。⇒

デザート

 

どうぞ、シェフを独りじめしてください

佐伯シェフ最高の旬の素材とワインをご用意してお待ちしております。

 

ご予約&お問合わせ

 

2月のランチやディナーも旬の食材をご用意してお待ちしております。
メニューはこちらのグルメウォーカーのページでご覧下さい。

私のフランス料理人生
私の修業時代の話は、社会福祉法人・恵の園様の冊子「SAKIGAKE VOL.14」に掲載していただきました。
興味のある方はお読みください。
「私のフランス料理人生」佐伯宏彦 ⇒


編集後記

今月から各お店の料理長からもお話をお伺いすることになり、新しい試みで少しドキドキしながらお一人目であるフランス料理の佐伯シェフを訪ねました。休憩時間にお時間を取っていただき、幼いころからの料理人人生をお伺いしました。福岡での想像を絶する修業時代からフランスで体験された貴重なお話、吉川社長との出会いなど。2時間ほどのお時間だったのですが、まだまだお話を聞かせていただきたいという思いと共に、「もっとフランス料理の味わい方を学びたい」という思いが湧いてきました。

佐伯シェフのお料理は美容的にもよく考えられている上にとてもおいしい。でも、本当はもっともっと深く味わえるのかもしれないと感じたのです。そういえば、女性向け・男性向けを問わず“フランス料理の味わい方”なる勉強の場がなぜないのだろう?とさえ思えてきました。フランス料理の愉しみ方をさりげなく教えてくださる男性がいたら、それはそれはとても魅力的に映るでしょう。女性同士のランチなら、シェフに教えていただきながら、お料理をいただければおいしさと一緒に知識がいただけますね。

私たちは本当のフランス料理の味を知らず、うわべだけを楽しんでいるのかもしれません。今後、佐伯シェフから少しずつお話をお伺いし何度かお料理をいただいて、本物のフランス料理の味を少しずつでも感じられるようになりたいという目標に似た大きな楽しみができました。その後に「本場フランスで本物のフランス料理を味わう」という贅沢な時間がやってくるのかもしれないと一人でワクワクしています。見た目だけでも綺麗でおいしいお料理ですが、その奥にあるストーリーを知ることで、もっと深く味わうことができるのですね。

今後は日本料理、イタリアン、吉川社長の順番で「今月の言葉」をお届けします。どうぞお楽しみにお待ちください。

編集:Chikako K.

BACK前の月へ目次へ戻る次の月へ

 

▲このページの先頭へ


株式会社よし川
会社概要  採用情報  お問合せフォーム